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丹沢縦走中に「膝が笑う」 その時ガイドはどう対応したか

5月5-6日で丹沢縦走2daysのガイドツアーを開催しました
今回はその中で起こった出来事で、皆さんにお伝えしておきたくて、記事にします

これまで20年ほどガイドとして活動してきて、ガイドツアー中にバテてしまう人、膝を痛めてしまう人、下山が遅くなってしまう人、色々な人に対応してきた経験があります
それでも、この日、Iさんに「膝が笑いそう」と伝えられたのが、青ヶ岳山荘から歩き始め30分ほどの早い段階の出来事で、これはさすがに初めてだったので、私もさすがに驚きました
正確になんと言葉を発していたか覚えていないですが、「マジですか?!」みたいなリアクションが即座に出たのを覚えています
そして👆のX投稿のように、次の瞬間には「自力下山可能か?」どうか、予定通りのルートを歩いてよいのか、どうにもならなければ背負い搬送か、そのために今すべきことを冷静に考え、すぐに対処をしました

目次

即席・下り方講習

膝が完全に笑い出して、踏ん張りがきかなくなると転倒滑落の危険があるので、そもそも縦走をするのは困難です
まず、こんなに早く膝が笑いそうになるということは、段差を下りる際に着地衝撃を全て大腿四頭筋で受け止めて下りているのは明白でした
そこで大腿四頭筋を使い過ぎない歩き方の即席レクチャーをし、下る時の大腿四頭筋の負担が減ったのを確認してもらいました

下山時の負担を軽減できるようになったので、下山が遅れることはあっても歩き続けられるという予測が立って、そのまま予定通り縦走し続ける判断をしました
ポールを1本持って支えにしながら慎重に下り、今度は登り返しながら蛭ヶ岳を目指します
次に一気に下る場面になる蛭ヶ岳からの下山で、負担がかからないように下りることが出来れば問題なく下山できるだろうと考えて、縦走していきました

蛭ヶ岳から北側への下りは、木道の階段が連続する箇所で、それほど大きな段差ではないにしろ、地味に大腿四頭筋に負担がかかり続けるんですよね
靴紐の結び具合に問題があったので、ハイカット登山靴の靴紐をしっかり締め直しをしました(靴のフィテッィングも得意なので)
ここで私がよく教えているザックの背負い方(講習会に参加した人は分かりますよね😉)をレクチャー、あれをやると着地の負担が減るんですよね
これは他の参加者の方も初耳の方がいたので、役立ったのではないかと思います

次の難所は八丁坂の頭から東野へ向けて下っていくルートの急坂箇所、ややザレぎみの標高差約250m下りです
それほど長くはないのですが、疲れが溜まっている頃なのでこのあたりでスリップすると場合によっては谷に滑落してしまう可能性があります
転倒せずに歩ける体力を残してこの場所にたどり着けていたので、ヒヤリとするようなこともなく、この急坂を通過出来て私もホッとしました
この後もさほど危険な箇所はないのですが、地味な下山が続いていきます
結果的に予定より下山が1時間遅れましたが、怪我をすることもなく無事にガイドツアーを終えることが出来ました

この日はこうやって私が今まで講習会で教えてきたことの中で、時間をかけずに即座に結果が出る技だけをお伝えして歩きました
下山ペースが速くなり過ぎないように注意しながら、でも、平らなところや登りは時間をかせぐために出来るだけスムーズに、休憩時間は長くなり過ぎないようにと、時間調整を考えて下山を続けたので、当初の予想よりは早く下山してくることが出来ました

ガイドは魔法使いではないので

こういう小技集を効果的に教えて、参加者の歩行能力を少し引き上げるようなことが出来るのは私の得意技です
なので、私のガイドに通い続けて下さる皆さんは、そうした側面を信頼してくださっている方も多いのではと思います

ただ、魔法使いではないので私に出来ることにも限界があります
なので、そもそも明らかに経験不足な人や、直前に運動が不足している場合、どうにもなりません

今回のIさんは、ツアーの参加対象として設定していた「標高差1,000m程度のルートを(休憩時間含めて)標準コースタイムの1.2倍以内で往復できる方」の基準を満たしていませんでした
「参加対象」を確認できなかった理由は分かりませんが、いずれにしてもそれは「ルール違反」です

なお、こうしたルール違反の参加があったとしても、私は怒ったりしませんし、出入り禁止にしません、不機嫌になったり、ご本人を嫌いになったりしません
ただ、そうした違反行為自体は嫌いであることはここで明言しておきます
なぜ嫌いか、それは他の参加者までトラブルに巻き込むリスクがあるからです
ガイドは安全管理のためにルールを設定しています
少しでもリスク要素を減らしたい、ただそれだけです

だろう登山 ➡ かもしれない登山

なので当たり前のことなのですが、ツアー申込時に必ず「参加対象」などの詳細をご確認ください
ひとたびグループで登山をするとなると、山の中では一蓮托生、お互いが支え合って行動します
だからこそ、そのツアーの行程を歩く上での必要最低限の体力があることを前提としてご参加頂いています

ガイドツアー中にバテてしまう、怪我をしてしまう、下山が遅くなってしまうというハプニングは、誰にでも起こりえることです
それが参加対象の基準を満たしている上で起こってしまうのなら、不可抗力で仕方がないです
何ならそうしたトラブルはガイドにだって起こりうることです

逆に参加対象をクリアせずに、無理に参加したことでトラブルが発生した場合、そこに過失があったことになります
車の安全運転のために「だろう運転」がNGとされるのと同じことで、「だろう登山」はやめましょう

「事故を起こすかもしれない」と冷静に考えて、参加対象に達しているかどうか分からなければご相談ください
参加対象に達するために必要なトレーニングなどもアドバイスしています
初心者の方でも参加しやすいガイドツアーを実施していますが、「誰でも参加できる」わけではありません
ガイドとして頼って頂けるのはとても嬉しいのですが、頼り過ぎないように、よろしくお願いします

なお、最後に余談ですが、参加者の方が本当に歩けなくなった時は、ガイドが背負って下りれるのであれば、背負い搬送をします
(一人では対処できない、急を要するとなればもちろん救助要請をします)
ガイドは基本的に、常にそれが出来る準備をして業務に挑んでいます

それでも出来ることならば救助活動にならずに、事故を未然に防げるのが一番です
なので、場合によっては「耳の痛い」話として読まれる方もいるかもしれませんが、今回の一件は書いておくべきだと考え、記事にしました
LISのガイド活動中に、救助要請を行った事故は未だゼロです
これを今後も継続していくために、ご協力をよろしくお願い致します

檜洞丸から見た夕焼の熊笹ノ峰

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