先日、Xで👆をポストしました
私が山の歩き方講習会で指導するうえで、大切にしているのは「すべての人に共通する歩行理論の解説」と「個々の課題に対する個別アドバイス」という2つの要素です。
指導を行う上では、どちらか一方に偏るのではなく、この二つが揃っていることが不可欠だと考えています。
理論という「根拠」が必要な理由
私自身、山を始めた頃やガイドを志したばかりの頃、様々な指導者からバラバラな指摘を受けて混乱した記憶があります。
「こういう姿勢が良い」という方法論はあっても、その根拠となる明確な理論が欠けていることが多かったのです。
理論がないまま指導を行うと、行き当たりばったりの指導になり、指導を受けた人がその後に判断に迷ってしまう可能性があるのです。
逆に理論さえ理解できれば、それを演繹して考えることで、別のシチュエーションでもどう動くべきか自ずと理解できるようになります。
そのため、私の講習では重心移動と重心維持という運動理論を法則としてお伝えし、受講者の皆さんが「自分で考え、足りない力を自分で鍛えられる」ようになることを目指しています。
個別の「癖」と歩行分析
しかし、理想的な運動理論を伝えるだけでは解決できない問題もあります。
講習を通じて分かってきたのは、参加者一人ひとりで「欠けているピース」が異なるということです。
ニーイン(膝が内側に入る)動作やガニ股歩行など、人それぞれ無意識の産物として、エラー動作が起こるものです
特に下山が上手く歩けない、膝が痛くなる、歩行ペースが遅い、などなど歩く上でトラブルを自覚している人は、そのエラー動作が自力で修正できない状態になっている人が大半です
そうしたエラー動作、動作の「癖」の背景には、うまく使えていない筋肉や動かない関節(原因)があって、エラー動作(結果)があるのです。
私の講習では、一人につき約10分、動画を用いた歩行分析とフォームチェックを行っていますが、まずそのエラー動作と、その源となる能力の足りないピースを理解することを重視しています
そしてそれを改善するために、個々に必要な改善策やトレーニングを提示しています。
これまでに積み重ねてきた膨大な数の歩行分析と指導の実績があるので、これはガイドとしての私自身の大きな財産だと思っています。
YouTubeや書籍の限界と、講習会の役割
YouTubeや書籍といったメディアでは、どうしても不特定多数に向けた「スタンダードな歩行理論」の発信が中心になってしまいます。
私自身もこれまで色々な形で理論を解説してきましたが、情報の性質上、個別の「癖」とその対処法に触れることはとても難しいです。
「YouTubeや本を見ても理解しきれない」「実践してみても、どう動きを変えればよいか分からない」
と感じる方は、ぜひ講習会の場に足を運んでみてください。
理論という「共通の法則」を理解し、フォームチェックで「個別の対策」を把握する
この2つを両方同時に理解することで、歩行技術が上達しやすくなるのです。
道に迷わず、上達への道を
最後に、歩行能力の向上について、地図に例えてみます
歩行理論を理解することは、登りたい「山頂」を地図上で確認することに似ています。
自分の体の癖、足りない能力を理解することは「現在地」を地図上で確認することに似ています。
そして、この2点をどちらか一方だけを理解しても、どの方向に進んでいいのか分かりません。
また2点の位置やその間に通るべき経路をあいまいに把握していては、道に迷って山頂に至るまでに時間がかかりすぎてしまいます
山頂と現在地の2点を出来る限り、正確に特定し、その2点の間にどのような地形があるか理解することで、「歩むべきルート」が見えてきます。
歩行能力を確実に上げていくためには、2点の間を埋めていくために「足りないピース」を理解する必要があるのです。
一般論で語られるトレーニング論ではなく、自分に足りない筋力や柔軟性を理解し、自分に適したトレーニングを理解することが、上達への近道になるのです。
1日の講習会でお伝えできる情報量は限られています
いつも、「もっと時間があればたくさんのことを教えられるのに」と思うのですが、仮に時間が多いと逆に理解することが難しくなってしまう側面もあります
1日の講習の中で、効果的に学びとってもらうためを考えて、「歩行理論解説」と「個別アドバイス」の2点を重視して指導しているのはそうした理由があるのです
講習会に参加した後も皆さんが道に迷わずに、自分自身で上達の道を進んでもらいたいのです
そのために私自身も、もっと分かりやすい解説と、的確な分析・アドバイスが出来るように腕を磨き続けていきます
引き続き、講習へのご参加、お待ちしています

