山小屋で夕食が食べられない・・・
先日宿泊した山小屋で目にした出来事です。
別の団体ツアーの参加者の女性が、食欲が落ちて気分が優れないようで、半分ほど残った夕食を前に辛そうな表情をしていました。
そこに現れた団体ツアーのガイドさんが「無理して食べなくても大丈夫ですよ」とだけアドバイスをして去っていきました。
普段から個人でガイド活動をしているので、自分以外のガイドが行っているトラブル対応を見る機会はあまりないので、印象深い出来事でした。
体調不良へのアドバイスは難しい
3000mを越える山岳エリアでは、特に登山初心者の方ほど体調不良になりやすいです。
私は普段から少人数制ガイドを行っているので、参加者の体調変化に気付く機会が多く、個別のアドバイスを求められることが多いです。
しかし、ガイドは医師ではないですし、体調不良に常に適切な対応が出来るとは限りません。
怪我のファーストエイドは明確に対処法を理解していても、高度障害や脱水、疲労などによる体調不良は、何が原因なのか見立てることが難しく、対処法を判断するのが難しいと言えます。

正解が分からないとしても・・・
もし、私のグループで食欲不振の方がいたら・・・
「食欲がないだけ?吐き気もしますか?」
「頭痛や寒気などの他の症状はありますか?」
「いつから食欲がないですか?」
「登山開始から何をどのくらい食べました?」
「水分は何をどのくらい飲みました?トイレの回数は?」
このような質問をして、より具体的な情報を把握して、対処法をアドバイスしようとします。
ガイドに必要なのは対応力の前に、「質問力」
「食欲不振」は目に見えてハッキリわかる明確なシグナルです。
この最初のシグナルの時点で適切な対応を怠れば、その後にさらなる体調悪化を招く可能性があります。
仮に原因や適切な対処が分からないことであっても、まずは質問をしてより詳しい情報を集めることが大切です。
質問から多くの情報を得ることで、結果として私は、体調不良の参加者の方々からより具体的な情報を聞き出し、判断する経験に恵まれ、より深い学びを得てきたと感じています。
正直言うと、対処が分からいないこともあります。
医師ではないですし、どうしたら良いのか判断に迷ったことは何度もあります
ガイドは神様ではないですから、分からないことがあって当たり前です。
「正解」が分からない、まずはそのことを認めなければなりません。
認めたうえで、出来る限りの情報を集める。
そのために、ガイドには「質問力」が必要になると感じています。
そして、質問をすることで、参加者の方自身も、自分自身の体調管理のどこに問題があったのかを考えるきっかけが生まれると思っています。
こうした大小のトラブルに遭遇してきて、たくさんの質問をした分だけ多くの情報が蓄積されていきます。
こうしてトラブルに向き合った上で得た知識がありますので、それを少しでも具体的な情報にして、今後は多くの皆さんにお伝えしていければと思っています。
