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高山病対策として、何をどう飲めばいいのか?

ニュースで連日「熱中症」の話題が出ているのと同じように、山でも同じことが起こっています。

富士山でいつもお世話になっている赤岩八合館のスタッフによると7月下旬頃から、ひどい高山病を発症する方が続いていると耳にしました。

富士山での体調不良は、全て「高山病」と呼ばれてしまう傾向がありますが、晴天続きの富士山で起こっているのは基本的には熱中症・脱水症に近い症状だと感じています。

私は医師ではありませんが、ガイドとして標高の高いところで多くの「高山病」とされる登山者を見てきましたので、それを元にご説明します

目次

日本の山での「高山病」の特徴

富士山はヒマラヤのような高峰とは異なるので、高地脳浮腫や高地肺水腫になるような重篤な高山病になる方はほぼいません。

高地脳浮腫や高地肺水腫などの狭義の高山病は、「低酸素・低気圧」の影響が大きく、その標高帯にゆっくり慣れるように登山することの重要です

その反面、日本の3,000mを超える山域では、低山では症状が現れない頭痛や吐き気などの症状がでる人がいて、これも「高山病」と呼んでいます。

こうした広義で使われる「高山病」は、頭痛・食欲不振・吐き気・不眠などの「山酔い」と呼ばれる症状があり、それも症状が軽いものから、重いものまであります

ただ、私の経験上、それら日本国内で起こる「高山病」の多くは、脱水症対策がしっかり出来ていればほとんどを軽減させることが出来ると考えています。

登山時の脱水と水分補給については過去の記事も参考にしてください↓

登山中の疲労解消法(3)水分不足による疲労への対応

標高の高い場所では気圧が少なく、酸素が薄いことによっても症状が現れますが、今回は水分補給にテーマを絞って解説したいと思います。

水分補給の目安を知る

登山時の水分補給の目安として、分かりやすい計算式があります。

(体重+荷重)<kg> ×5(行動係数) = 登山1時間当たりの水分摂取量<ml>

例えば体重65kg、荷重5kgの方ですと、70×5=350mlが1時間あたりの水分摂取の目安量です。

1時間当たりの水分摂取の目安が分かれば、あとは地図記載の標準コースタイムを参考にして、一日の行動に必要な水分量が分かりやすくなります。

標準コースタイム4時間の場所を歩くとすれば、

 1時間摂取目安量 350ml × 4時間 = 1,400ml

行動開始から登山終了までの間に、この水分量が摂取できなかった場合は、出来るだけすみやかに足りなかった分を摂取するようにしたいです。

さきほど、私は「日本国内での高山病の多くは、脱水症対策がしっかり出来ていればほとんどを軽減させることが出来る」と書きましたが、なぜそのような考えを持つようになったかというと・・・

この水分補給の計算式を、富士山のガイドツアー中に伝えて、一人一人に水分補給の摂取量の数字を意識してもらうようになってから、ツアー中に高山病の症状が現れる人が減ったからです

そして、山小屋に到着してからも、
「目安量を飲みましたか?」
「足りなかった分は夕飯までに飲んでおいてくださいね」

この声掛けをおこなうことで、山小屋宿泊中の夜間や、翌朝に体調不良を訴える人が激減しました

長年富士山でガイドツアーを行っていましたが、最初の頃は、呼吸法を教えたり、呼吸が乱れないペースに配慮したりと、ツアー中に低酸素状態にならないことだけに配慮してガイドツアーをしていました

それでも旅行会社のツアーよりはゆっくり歩いていましたから高山病になる人の割合は少なかったですが、水分補給についてのアドバイスの方がより「効果的」だったという実体験があるからです

富士山のように標高が高い場所では、寒いので冷たい飲料を飲みにくいという点で、暖かい飲み物を飲むなどして、少しでも水分補給を意識するようになると、高山病などの症状が起こりにくいだけでなく、翌日に疲れが残り難いです。

主観的判断ではなく、数字で客観的に判断する

発汗量など、水分が奪われる量はそもそも個人差がありますが、多くの登山者に言えることは「十分飲めている」という主観的判断を下してしまっているということです

そんな時に、水分摂取量を計算し、自分自身でどの程度の量を飲んだか数字を目安に、客観的に確認して歩くことが体調管理の上でとても大事になるのです

これはまた、標高の高い場所に限らず、普段の登山から計算し、確認して、自分なりの目安を持つことが大事になってきます。

●特に水分補給が重要なポイント

・登り始め(夏期は歩き始めが一番発汗します)

・急登(急な登りが一番暑くなりやすいからです)

・風通しの悪い樹林帯(風をうけないため、体に熱がたまり発汗も増えます)

例えば、登山口近くの樹林帯を歩く最初の2時間は行動係数を×5で計算したり、稜線のゆるやかな縦走路は×3など、状況に応じて必要な水分量を推測すると良いでしょう。

何を飲むと良いのか

行動食などで十分に塩分、ミネラル分を補給できているといいのですが、特に夏山は不足してしまう可能性があるので、スポーツドリンクが適しています。
水やジュース、お茶などは真夏の登山では適しません。

重要なのはスポーツドリンクは濃すぎるという点だけ覚えておいてください。

市販のスポーツドリンクの大半はアイソトニック飲料、体液とほぼ同じ浸透圧に調整されています。
しかし、急激に発汗する運動時はハイポトニック飲料(体液よりも低い浸透圧の飲料)の方が体に素早く吸収されます。

1L用の粉末スポーツドリンクの素を使う場合は2Lの水で作るなど薄めで作るか、イオンウォーターなどのハイポトニック飲料を購入しましょう。

登山中に山小屋でスポーツドリンクを購入する際、私は水筒を持参しておき、水とブレンドして2倍希釈のスポーツドリンクを作ったりしています。

●山小屋到着時や、一日の終わりに補給する

そうは言っても、登山中は持てる水分量に限界があるので、水分摂取が足りなくなることあります。

少し水分が足りなかったかな、いつもより疲れているなと感じた時は、山小屋や水場に着いた時点、一日の行動後にしっかり水分を補いましょう。

慣れてくると、自分自身の体感で水分が足りているかどうかが分かります。

当然ですが、水分摂取が少ないとトイレに行く回数が減りますし、一回の尿量も減ります。

特に女性で登山に慣れていない方は登山中のトイレが気になり、水分摂取量が減っている傾向があります。

「まずはビール」といきたい気持ちは分かりますが、登山時に水分補給が少なかった場合、その分、アルコールが体へのダメージとなってきますので注意してください。

疲れをとるためにも、たくさん飲んで、たくさん出す

登山では日常生活とは比べ物にならないほどの運動をしていますので、それだけ体内には疲労物質が溜まっています。

だからこそ、日常生活以上に出す(排泄)ことが重要になります。

そこで、山で宿泊する際は山小屋到着直後に、お茶やコーヒー、コーラなどカフェインを含んだ飲み物を飲むことをオススメしています。

カフェインには利尿作用がありますので、運動中に飲むのは良くないですが、運動後に疲労物質を排泄するのに優れています。

就寝前に飲むと眠りにくくなってしまいますので、山小屋到着直後、夕食前に飲んでおくことをオススメします。

カフェインが苦手な方もいると思いますし、子どもはあまりカフェインを摂取しない方がいいですので、その場合はカフェインを含まない飲み物でもいいと思います。

とにかくたくさん飲んで、出して下さい😊

コーヒーを飲むと、効果てきめん、就寝前までに何度もトイレに行きたくなることがあります

しかし、排泄するごとに、疲れがとれていく感覚(だるさや体の重さが消えていく)を一度味わってみてください。

高山病(高度障害)は酸素不足だけが原因とは限らない

標高が高い場所は当然酸素が薄くなるので、そのことによって様々な影響が体に現れますが、酸素ボンベを吸ったり、深呼吸をしても症状が改善しない場合があります。

これまでも、登山中にSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を測れるパルスオキシメーターで富士山の登山中に参加者の皆さんのSpO2を何度も測ったことがあります

確かに、皆さん平地よりも数値が低くなっていることは確かなのですが、SpO2が80%台でも元気な人もいれば、90%台でも少し食欲がない人もいます

こうしてSpO2を測ることで、酸素が不足していなくても、体調が悪くなる場合があるのが、標高が高い場所を登る難しさです

このような場合は、前述のようにしっかり水分補給を行った上で、体の中での循環が悪くなっていることに対処をしたいです。

ストレッチやマッサージで血流を改善しないと、深呼吸をしても酸素が全身にうまく送られませんし、老廃物も排出されにくくなります。

また、甘いものや脂肪分の多いものを食べた場合や、疲労が主な要因となって、本来弱酸性の血液が酸性化します。

酸性化した血液はドロドロとして血流が悪くなります。

さらに、酸性化しているとヘモグロビンと酸素の結合が悪くなり、これも酸素が全身にうまく送られない原因になります。

そのため、どんなに疲れていたとしても、山小屋に着いてバタンと横になるだけでは体は回復しませんし、高山病になりやすいのです。

まとめ

標高が高い場所では呼吸だけ頑張っても体調を崩す場合があります

目安量を確認して十分に水分とる。

しっかりストレッチ・マッサージで疲れをとって、血液の流れを良くする。

この記事は「高山病対策について、だいぶ分かってきた」を改題・再編集したものになります

高山病についてこちらでも解説しています

山と溪谷オンライン
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